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エビの陸上養殖プロジェクトの成果

更新日:2022年4月7日

いなかパイプさんとのエビの陸上養殖プロジェクトが約半年で完了した。本プロジェクトの内容は、大きく分けて3つの活動があった。


1.活動結果

1.1 設備更新

本養殖場は数十年使われているため、設備の老朽化に伴い多くのコストが消費されていた。設備を更新することで、コスト削減と効率化を図る。特に大きなコストの要因となっているのが電気代と重油代である。この二つを削減するために最適な設備を選定した。

本養殖場の消費電力と、水槽の水を温めるために必要な熱量を見積り、最適な設備を検討した。


1.2 稚海老の生存条件の調査

これまで稚海老が生存する条件を数値的に解析したことがなかった。温度が重要と考えられてきたが、明確な根拠がなかった。共食いすることが多いことも予測されてはいたが、その実態は判明しなかった。そのため稚海老の最適な生存条件を調査した。


1.3.中期経営計画の作成

設備更新のためには銀行からの融資や外部からの投資が必要になる。そのためエビの生産数と価格を見積もり、中期経営計画を作成した。


2. 陸上養殖の参入者

本プロジェクトを通じて調べたところ、国内外の実に多くの企業や地域が陸上養殖に乗り出していることがわかった。今後も陸上養殖は増えていくと予想される。各社生産する海産物や生産方法を工夫することで今後ますます競争が激しくなると考えられる。その一方で技術力や体力のない企業は淘汰されるかもしれない。


2.1 国内の陸上養殖業者

国内では各地で様々な会社や自治体が陸上養殖を始めている。三重県尾鷲市では、中部電力が火力発電所跡地にエビの養殖所を設置した。静岡県清水区三保ではサーモンの養殖がされており、新しい特産品になるのではないかと期待されている。



日本ではあまり馴染みのない海産物として、秋田県三郷町では上海蟹の養殖が行われている。岩手県大船渡市では下水城跡地にキャビアを産むチョウザメの養殖が行われている。


2.2 海外の陸上養殖業者

海外でもベンチャー企業などが陸上養殖の事業を始めている。インドネシアのはeFisheryは2022年1月に100億円以上の投資を調達している。シンガポールのシオック・ミーツは培養エビの製造を開発している。



3.陸上養殖に必要な設備の開発案

本プロジェクトにて陸上養殖に大きな可能性を感じたとともに、開発が必要だと思った装置を案をあげていく。すでに販売されているものもあるが、もっと簡略化して安くできるものや、逆にもっと多機能化したほうがいいと思える装置もある。


3.1 電気、熱、空気を一括供給する装置

本プロジェクトで最初でた課題が設備更新であった。当初電気と熱を供給できるコージェネレーションを考えたが適切な規模の装置が見当たらず、断念した。基本的に発電をするには必ず熱が発生するので、その熱を水温や気温の上昇のために用いれば、発電機の熱効率は向上する。また熱と同時に圧縮空気も供給できる。

電気と同時に熱と空気を供給する装置ができれば、ガスやガソリンのエネルギーを最大限に活用できる。これは養殖だけでなく、農業にも活かせるのではないかと考えている。


3.2 水質測定器

水温やpHなどのデータは陸上養殖をする上でかかせないデータである。これを自動化できれば人的コストが下がり、最適な生育条件を探ることができる。現時点でi-oceanが自動測定器を販売しているが、たぶん導入費用は安くないだろう。arduinoやRaspberry Piと測定器を組み合わせれば、もっと安価に作成できるのではないかと考えられる。


3.3 自動餌散布装置

餌やりは人の手間と時間がかかる、人的コストの大半を作業である。これを自動化できれば陸上養殖のコストは大幅に削減できることが期待できる。NECICはAIと画像認識で自動化するシステムを開発しているが、少々オーバーな装置な気がする。ただスプーンですくって餌を撒くロボットアームではダメだろうか?


3.4 水槽およびカバーと断熱材

今後陸上養殖に参入する企業や自治体のに中には、浄水場跡や廃校のプールなど既存の施設を活用していくと予想される。そのような設備では熱の拡散や水の蒸発が課題となる。既存設備を養殖場として適した場所にするための塗装やカバーがあれば、より簡単に陸上養殖に参入しやすくなると考えられる。


3.5 浄水/濾過

養殖の水を使い回す、閉鎖型循環式養殖場では水の浄水と濾過が必要になる。水質が悪化すればそれだけ魚やエビは死にやすくなる。アクポニでは水耕栽培と養殖を両立することで、水とエネルギーを節約し、排泄物を有効活用している。このようなシステムがあれば、養殖場を小規模化できるかもしれない。




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