【背景】
2007年にamazonのKindleが販売されて以来、すっかり電子書籍端末が有名になったが、10年以上たったが、電子書籍がそれほど普及しているとは言えないのが現実である。電子書籍端末が普及すれば紙の本はCDのように絶滅の危機に瀕するのではないかと言われたものの、意外にそれほどのインパクトはない(少なくとも消費者から見て、という意味だが。出版社や本屋からすれば大きな危機かもしれない)。
電子書籍端末が普及しない理由はかなり複雑である。私もSONYの電子書籍端末を使っているが、性能的にはほとんど問題ない。紙の本の方がなんかいい、としか言いようがない。それを上手く言語化できない。本はなんだかんだ言って本棚にないと何か不安か不満があるらしい。
電子書籍端末にそれほどのメリットを感じないというのも一つの要因かもしれない。紙の本当対して値段は変わらないし、端末自体も安くない。収納スペースが節約できるが、本を多く読む読書家ほどやはり紙が好きなものなのかもしれない。
しかし電子書籍に圧倒的なメリットを感じる機会がある。出張や旅行などで長期間移動しなければならないときである。本は結構重い荷物なのであまり持ち歩きたくないが、移動中など暇なので本を読みたくなる。こんなときこそ電子書籍の最大のパフォーマンスを発揮する時である。
しかし出張のときしか使わないのはコストパフォーマンスが悪いし、本もそれほど多く買うのはもったいないのが現実である。
【提案】
電子書籍端末のレンタルサービスを提案する。この端末には数百、数千の書籍をあらかじめダウンロードしておき、借りた人はその中から自由に読める。レンタルするのは事前に予約をして取り寄せてもいいし、ポケットWiFiのように大きい駅や空港で店舗を設けて貸し出しても良い。
料金は日数や一週間単位で料金を決めるのが適切だと考えられる。借りパクされないようにクレジットカードで料金を徴収すれば、むしろレンタル期間に比例して莫大な料金を請求される。あるいはスマートフォンのように遠隔操作で使用できなくすればなお良い。
レンタル専用の電子書籍端末は一般販売用途はまた違った仕様が求められる。事前に大量の書籍をダウンロードしておいた方がいい一方で、顧客自身が新たにダウンロードをする機会はあまりないと考えられる。また自分の本棚とは違ったところから、大量の本の中から読みたい本を素早く見つけられるようなインターフェイスが求められる。
ユーザーアンケートの機能を含めて、どの本がどれくらいの時間が読まれているかなど、様々なデータを蓄積することも有効だと考えられる。このデータはオススメをするだけでなく、著者への著作料の支払い、読書時間の目安、読者のカテゴリ、完読率など様々な用途に使える。なにしろ読書に関するデータというものはかなり限られており、書店の売り上げしかない。
とはいえ厄介な問題はやはり著作権の問題であろう。もしこのビジネスをなんの権利もコネもない私がやれば、訴えられてしまうだろう(ただしこれが著作権違反になるかははっきりわからない)。
実現にあたって一番簡単なのは出版社自身が自社の著作物を集めてこのビジネスを始めることである。ただ読者の好みは必ずしも出版社別に分かれているわけではない(というより出版社をあまり意識していない)。次はAmazonや楽天のような総合ECサイトが運営することである。幸いこれらのAmazonと楽天は自社で電子書籍端末を持っている。ただこれらの企業が出版社の売り上げをかっさらってしまうことになるかもしれない。
個人的にこのサービスは誰かやってくれないかと思っている。自分でやるにはあまりにハードルが高い気がするので。
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